家づくりお金塾

新設住宅着工戸数が2008年のリーマンショック以降、年間100万戸を下回っています。
2011年は、マンションなどの分譲住宅が伸びて、前年比2.6%増の83万4117戸となり、増加は2年連続です。
東日本大震災の影響で、3月は落ち込んだもののその後は急回復しました。7月末が着工期限の住宅エコポイントに関連する駆け込み需要があったからと思われます。
では、2012年は住宅取得には適しているのでしょうか。またどんな利点があるのでしょうか。専門家の方にお話を伺いました。

1. 住宅エコポイント予約申し込み終了

復興支援・住宅エコポイントの被災地以外の地域の予約申し込みは、7月4日に受付終了となりました。東日本大震災の被災地については、引き続き、予約申し込みを受付しています。

ポイント発行対象・ポイント数

  • エコ住宅※の新築の場合、被災地は30万ポイントが発行されます。
  • エコリフォーム※の場合は工事内容に応じ2千〜10万ポイントが発行されます。(上限30万ポイント)

※エコ住宅:省エネ法のトップランナー基準相当の住宅、または省エネ基準(平成11年基準)を満たす木造住宅

※エコリフォーム:外壁、屋根・天井または床の断熱改修や窓の断熱改修、バリアフリー改修、太陽熱利用システムの設置、節水型トイレの設置、高断熱浴槽の設置等

工事対象期間

  • 新築は平成23年10月21日〜平成24年10月31日に建築着工したもの。
  • リフォームは平成23年11月21日〜平成24年10月31日に工事着手したもの。

ポイント数や交換対象商品、ポイント発行申請期間など詳しくは国土交通省のホームページをご覧ください。

2. 「フラット35」Sエコの創設

従来の「フラット35」Sに加えて「フラット35」Sエコが創設されました。
「フラット35」Sエコとは、東日本大震災からの復興・住宅の省CO2対策を推進するため、省エネルギー性の優れた住宅について、金利引下げ幅を従来の「フラット35」Sより以下のように拡大しています。

従来の「フラット35」S
当初5年間 年0.3%の引下げ
新しい「フラット35」Sエコでは・・・
  • 東日本大震災被災地においては
    当初5年間 年1.0%の引下げ
  • 東日本大震災被災地以外の地域においては
    当初5年間 年0.7%の引下げ

平成24年4月1日以後の申込から「フラット35」Sベーシックも制度変更の予定です。融資率上限の引下げ、金利引下げ期間の短縮など、条件が変わっていますので注意が必要です。

「フラット35」Sベーシック変更点

融資率の上限
建設費または購入価格の10割 -> 9割
金利引下げ期間
「フラット35」Sベーシック(金利Aプラン)当初20年間 -> 当初10年間
「フラット35」Sベーシック(金利Bプラン)当初10年間 -> 当初5年間

※金利引き下げ幅に変更はなく年▲0.3%

※「フラット35」Sエコについては制度拡充終了日(平成24年10月31日を予定)の翌日以後の申し込み分から、「フラット35」Sベーシックと同条件になる予定です。
「フラット35」S も「フラット35」Sエコも予算に限りがあるため予算金額に達する見込みとなった場合は、制度拡充終了日が前倒しされることとなります。詳しくは住宅金融支援機構にお問い合わせください。

3. 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充・延長

年世代への資産の早期移転や省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅ストックを形成する観点から、住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置が拡充・延長されました。

1. 非課税限度額

(1)省エネルギー性または耐震性を備えた良質な住宅用家屋の場合

  • イ、平成24年中に住宅取得資金の贈与を受けた者 -> 1500万円
  • ロ、平成25年中に住宅取得資金の贈与を受けた者 -> 1200万円
  • ハ、平成26年中に住宅取得資金の贈与を受けた者 -> 1000万円

※東日本大震災の被災者については、平成24〜26年は非課税限度額を1500万円

※省エネルギー対策等級4又は耐震等級2以上(免震住宅含む)の住宅

(2)上記(1)以外の住宅用家屋の場合

  • イ、平成24年中に住宅取得資金の贈与を受けた者 -> 1000万円
  • ロ、平成25年中に住宅取得資金の贈与を受けた者 -> 700万円
  • ハ、平成26年中に住宅取得資金の贈与を受けた者 -> 500万円

※東日本大震災の被災者については、非課税限度額を1000万円

2. 適用対象となる住宅用の床面積については、東日本大震災の被災者を除き、240m2以下のものに限定

3. 適用期限は、平成24年1月1日〜平成26年12月31日まで

4. 住宅取得資金贈与に係る相続時精算課税制度の特例※の適用期限を3年延長

※相続時精算課税制度の住宅資金贈与の特例とは、親の年齢条件(65歳以上)が住宅取得資金贈与についてはなくなるという特例です。

4. 住宅ローン減税

平成21年度から始まった住宅ローン減税は、平成25年12月31日が適用期限となっています。当初に比べると控除額は年々減ってきてはいるものの、平成24年に居住を開始した場合、一般住宅ですと最大で300万円、認定長期優良住宅ですと400万円の控除が受けられます。
また、2月28日に低炭素化促進法(都市の低炭素化の促進に関する法律)が閣議決定、国会に提出されました。これにともなって、省エネ性能の高い「低炭素住宅」として認定された住宅を取得した場合にも、住宅ローン控除額の拡充および登録免許税の軽減措置など優遇策が受けられることになりました。(住宅ローン控除額は長期優良住宅と同額)

「長期優良住宅」・「低炭素住宅」の住宅ローン減税による控除額

居住年控除期間年末残高の限度額控除率年間最大控除額10年間最大控除額
2012年10年間4000万円
(一般 3000万円)
1.0%40万円
(一般 30万円)
400万円
(一般 300万円)
2013年3000万円
(一般 2000万円)
30万円
(一般 20万円)
300万円
(一般 200万円)

どのような住宅が「低炭素住宅」とされるのかはまだ確定ではありませんが、一戸建て住宅の場合には天井の断熱材が18cm以上、外壁や床の断熱材が10cm以上、壁は連続する防湿気密層にする、窓は複層ガラスなどにする、南側の窓には軒ひさしを付けるなどの認定要件が設けられる予定です。さらに省エネ性能だけでなく、高効率給湯器や太陽光発電、蓄電池などを組み合わせ、二酸化炭素の排出削減につながる項目が幅広く盛込まれる見通しです。

また、当登録免許税は保存登記、移転登記とも0.1%に引下げ、また容積率の不算入(蓄電池、蓄熱槽など低炭素化を図るための設備設置で通常の建築物の床面積を超える部分は容積率に参入しない)等の優遇措置がなされる予定です。適用開始日などは未定ですが、住宅ローン控除額の拡充は平成25年12月31日の入居まで、登録免許税の軽減措置は平成26年3月31日までとなります。平成21年度から始まった住宅ローン減税は、平成25年12月31日が適用期限となっています。当初に比べると控除額は年々減ってきてはいるものの、平成24年に居住を開始した場合、一般住宅ですと最大で300万円、認定長期優良住宅ですと400万円の控除が受けられます。 また、2月28日に低炭素化促進法(都市の低炭素化の促進に関する法律)が閣議決定、国会に提出されました。これにともなって、省エネ性能の高い「低炭素住宅」として認定された住宅を取得した場合にも、住宅ローン控除額の拡充および登録免許税の軽減措置など優遇策が受けられることになりました。(住宅ローン控除額は長期優良住宅と同額)

5. まとめ

以上のように住宅取得に関する優遇策や、住宅ローン控除等があります。住宅ローンの金利も現在ほぼ過去最低水準にありますので、借り入れをする場合は有利かと思われます。
しかし、経済・社会状況等の変化による、収入のダウンや金利の上昇なども考慮する必要があるでしょう。年金保険料や健康保険料の値上げは可処分所得の減少につながります。消費税率のアップも決定しますと、住宅取得資金の負担増になる可能性もあります。(政府与党は住宅に対しては考慮するとの見解を述べています)
デフレからなかなか脱けだせない状態の日本経済において、家計の見直しはもちろんのこと、ライフプランを考えるうえで住宅は大きなウェイトをしめます。住居を持つ・一生賃貸で過ごす・親と同居するなど、家族でよく相談することをおすすめいたします。

監修/(有)グッドライフ FP ステーション
取締役社長 CFP 後藤 厚裕さん

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