家づくりを考え始めると、とかく夢が大きく膨らむもの。 夢を詰め込みすぎた家を建てて、無理をしても元も子もありません。膨らませ過ぎた夢は萎むのも早いですが、無理なく少しずつ叶えてゆく夢は確実に育っていきます。焦ってはじめからあれもこれも詰め込む必要はありません。とはいえ、やはり家づくりは夢。身の丈にあった現実的な家をつくるのがいいのはわかっているけれど、ささやかな夢も叶えたい。限られた資金の中で、何を優先し何を諦めるか、あるいは未来の夢として取っておくか。選択する場面、決めなければいけないことの連続です。
それは、自分の暮らし方、家族の在り方を常に問われる作業でもあります。ぜひ、家族でコミュニケーションを取りながら家についての知識を収集し、満足のいく家づくりを始めてください。
でも実際に家を建てたいなあ~、マイホームがほしいなあ~と思っても「まず何から始めたらいいの?」「誰に頼めばいいの?」と感じる方が多いのではないでしょうか。そんな家づくり初心者の皆さんに、家づくりを失敗しないためにも知っておきたいポイントをまとめました。スムーズに家づくりを進めるために、参考にしてみてください。


資金計画を立てよう!

人生最大の買い物ともいえるマイホーム。まず、最初にやらなければならないことは、現在の自分の収入でいくら借りられるか、金利はどのくらいで月々いくらなら無理なく返済していけるか、ということを知ることです。そのシミュレーションの結果出てきた予算をもって、土地探し、建物探しを始めます。また建設費の他にも外構工事費等の別途工事費、申請等にかかる費用や税金などの諸経費も含めた総予算を把握しておきましょう。住宅ローンはあくまで建物購入のためのローンです。土地の購入だけではローンは組めませんので、土地も購入する場合には、土地購入のための現金を用意するか、つなぎ融資または分割融資を受ける必要があります。
また住宅ローンにも銀行の住宅ローン、フラット35、財形貯蓄をしておけば借りられる財形住宅融資等、いろいろな種類があります。低金利時代といわれる現在、固定金利がいいのか、変動金利がいいのか…知っているようで知らない住宅ローンの基本的な情報をしっかり押さえておきましょう。

土地を探そう!

土地選びも大切なポイント。どこに住みたいかということも重要ですが、家族の条件によっても様々です。たとえばお子さんが小学校に上がっているときは、学区優先の方がいいかもしれません。あるいは、子どもが転校しても自分たちが住みよい場所に家を建てる方がいいと考えるのであれば、場所重視で計画を進めてもよいでしょう。どちらにしても、家族みんなでよ~く話し合っておきましょう。またイメージや条件だけで選んでしまうと、、住み始めてから「なんだか合わないな」と感じることもあります。周囲の環境や雰囲気もしっかり確かめておきましょう。

いい家とはいったいどんな家でしょう。暮らしやすく、様々なストレスがない家。メンテナンスが簡単な家。あるいは丈夫で長持ちする家等々、人それぞれにいい家のイメージは違うかもしれませんが、長野で暮らすからには、冬暖かくて夏涼しい、快適な家が住む人を幸せにしてくれるいい家ではないでしょうか。「寒い・暑い」というストレスから解放してくれ、その上光熱費が安いとなればいうことはありません。断熱性能が高く全館暖房の家なら、暖かい家という点でも、満足度が高いですね。
では、そんないい家をつくるには一体どうしたらいいのでしょうか。自分たちでも住宅についてある程度勉強しておく必要があります。家の断熱性能は?サッシはどんな種類がいいの? 屋根材はメンテナンスを考えると何がいいの?外壁材は?床材は無垢がいいの?・・・etc。そういうことを総合的に判断しながら、自分たちの家にとって何がいいことなのかということを考えなくてはいけません。ここで大事になるポイントがいくつかありますが、「断熱性能」「暖房計画」「長期優良住宅」の3つは、建てる前にぜひ知っておいてください。

「断熱性能」について

家を暖かくしておくには、熱を逃がさないようにしなければなりません。そうなると気になるのは断熱性能。まず、断熱材の種類と厚さ、特に厚さが大事だということを知って下さい。断熱性能がきちんとしていれば、木の種類に関わらず家は長持ちします。昔は結露して痛みやすく木がもたないので、ヒノキや栗のように耐水性に優れ、曲りづらくて伸縮しづらい材木で造る家がいい家だと言われました。しかし、現代の家は、断熱材がきちんと入っていれば、ヒノキの力に頼る必要はありません。ここで大事なのは、床、正確に言うと、床下の基礎の外側と天井にも断熱材がきちんと入っているかという点です。床や天井は熱が一番逃げるところですから。そこの工法と断熱がどういうふうになっているかということです。つまりどこにどういう断熱材を使っていて、それがどういうやり方で施工されているかを知ることがとても重要です。

「暖房計画」について

たとえば、寒くない家というのは、断熱性能が高いということと、設計の段階で暖房計画がちゃんと入っているかどうかがポイントです。一般的には入っていないことが多く、オプションで組み込むことが多いようですが、どんなに断熱性能が高くても暖房設備は必ず必要です。温水パネルヒーター、エアコン、床暖房や薪ストーブ等種類もいろいろ。暖かさだけでなく、安全性や機能性も含め、どんな種類があり、それぞれの特徴を知った上で、何がいいかを判断できるようにしましょう。

「長期優良住宅」について

長期優良住宅、その名の通り「優れた住まい」ということです。では優れた住まいとはどんな家をさすのでしょう。日本の住宅寿命は約30年程度と言われています。一般的な住宅ローン返済期間が30~35年であることを考えると、ローン返済が終わった時には、家の建て直しをしなければならない状態だということです。これは本当に残念なことです。欧米の住宅寿命は、70~140年程度と言われていますので、3世代にわたって、孫の代まで家を住み継ぐのが普通ですし、年数が経つごとに建物の価値が上がっていくとも言われています。ですから、日本の多くの中古住宅が「空き家」として余っているのに対して、欧米では中古住宅は価値ある住宅として認識され、活発に売買されています。欧米の住宅は、「長持ちする住宅」であることが当たり前です。日本でも、「いい家を建て、きちんと手入れをし、長く大切に住み継いで行く社会」に変えて行こうと、2009年に国は寿命の長い住宅の普及・支援を目的に長期優良住宅の認定事業がスタートしました。長期優良住宅の認定基準には、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画の9つの性能項目がありますから、この認定を受けている住宅は、細かいチェックをしなくても、十分な性能、暮らしやすさ、メンテナンスのしやすさを備えています。その上、税制面での優遇などを受けられますから、長期優良住宅かどうかは大きな要因になります。以上3つのポイントについてお話しましたが、自分たちにとって何がいいことで、何が悪いことなのかを判断することが出きるように、楽しく住宅の勉強をしてみてください。

「いい家とは何か」と考えてきましたが、一番大切なのはその家での暮らし方です。何を大事にしたいか、そのために家のどこを充実させたいかを考えることです。あれもこれもと理想を求め過ぎず、今の住宅の何倍も広い家にするより、多少小さくても、後から造り直したり、付け加えたりすることができない家の性能部分にこそお金をかけることも大切では。実際に住み始めたら、その選択は間違っていなかったと実感するはずです。

監修/ミツヤジーホーム株式会社