暖房はもちろん、インテリアや調理器具としての魅力をもつ薪ストーブ。揺らめく炎、薪のはぜる音。薪ストーブの炎が生み出す自然のぬくもりは、暮らす人の気持ちまで解きほぐし、やすらぎやくつろぎを感じさせてくれます。あなたのライフスタイルに似合う薪ストーブで信州の冬の暮らしを、もっと楽しく豊かなものにしてみませんか。

美しい炎と自然のぬくもりに包まれて過ごす冬の暮らし。
他の暖房器具では味わえない魅力が、薪ストーブにはある。

信州の冬の暮らしに欠かせない暖房器具。部屋を暖かくするだけなら、エアコンなどの暖房器具で充分ですが、ここ数年、自然、環境への意識の高まりや、炎のもつ癒しの効果への関心の高さなどと相まって、一般住宅でも薪ストーブを楽しむ人が増えています。
薪ストーブは、暖炉のように炎で直接あたたまるのではなく、薪が燃焼するときに輻射熱とともに放出される遠赤外線で部屋中を暖めます。この遠赤外線は、室内が過度に乾燥することも、結露することもなく、太陽光のような自然のぬくもりで、身体を芯から温めてくれます。暖房効果も高く、今の高気密・高断熱の住宅なら、真冬でも薪ストーブ1台で、家中が充分に暖かくなりますし、寝る前に薪をくべておけば翌朝まで暖かさが残り、気持ちのいい朝を迎えられます。
輻射式の薪ストーブの多くは、高温に耐性のある鋳物が多く使用されています。さらに、ストーブ全体が温まるので、熱効率がよく、火を熾してから温まるまでが早いのが特徴です。蓄熱性に優れているので、一度温まると暖かさが長く続きます。
今、人気がある薪ストーブは、煮込料理だけでなく、遠赤外線効果でピザや焼き芋、パンもふっくら香ばしく焼ける「ストーブクッキングができるタイプ」。アウトドアクッキングの楽しみを室内でも味わうことができる薪ストーブは、暖房の熱を利用するため、調理のためのエネルギーがゼロなのも魅力。料理に活用してこそ、その機能を活かすことにもなる薪ストーブは、輻射熱がいつものメニューをひときわ美味しく仕上げてくれます。
またスギやカラマツなどの針葉樹も燃やせ、里山の間伐材が利用できる「パワーのあるタイプ」も人気です。排煙の少ないクリーンバーンの燃焼効率の良いタイプも登場し、人と環境に優しい熱源として注目を集めています。
このように、薪ストーブのすぐれた暖房能力、炎の心理的効果、薪料理の美味しさと楽しさ、環境負荷がきわめて少ない再生可能な自然エネルギーを用いることなどが、徐々に知られるようになり、薪ストーブを生活に取り入れる家庭が増えてきています。薪の入手から始まって、日々のお手入れ、年1回のメンテナンス、煙突掃除など、手間はかかりますが、それ以上に、安全を確保した上で、家の中で火を楽しめる喜びと満足感は大きいようです。

薪づくりも楽しみのひとつ。おすすめは広葉樹。

誰しも、落ち葉を集めた焚き火や、キャンプファイヤーの火に、ワクワクしたことがあるでしょう。薪ストーブは、その焚き火を、家の中でするのと同じですから、楽しくないはずがありません。火を使い、火によって生活を豊かにし、心をも癒すことができるのは人間だけだと言われています。そんな、人間本来の自然に近い暮らしを、思い起こさせてくれる薪ストーブ。その薪ストーブの暖かさは特別でとても心地よいものです。
薪ストーブにとって燃料となる薪はとても大切です。薪の種類によって、火のつき具合、火力、火持ちなどが違いますし同じ種類の薪でも、乾燥の度合いによって燃え方が違ってきます。
薪は、各地の森林組合や燃料販売店、ストーブショップなどで販売していますし、最近はネットでも注文できますが、自分たちでつくればコストも抑えられます。家族での薪づくり作業。斧を手に持ち、薪に向かって力いっぱい振り下ろし、汗を流す。身体も心も温めてくれますね。
市販の薪材として主流なのはナラ。ナラは炭にもなる昔からの薪炭材で、堅くて火持ちがいいのが特徴です。ただし、乾燥しにくいので注意が必要です。乾燥期間の目安は薪割り後1年です。よく乾燥させた薪は、火持ちもよく火力も充分。厳寒期でも、ストーブ本来の性能を充分に発揮することができます。
火持ちや火力を重視するなら、おすすめは広葉樹のナラやクヌギなどです。でも信州ならいろいろな木があります。たとえばリンゴの薪なら、ナラほど火力はないものの、燃やすと甘いリンゴの香りがします。またカラマツも入手しやすい種類です。燃料としての性能ばかりではなく、入手しやすいものであることも重要です。
薪を割り、乾かし、運び、火にくべる。そんな手間もいつしか充実感と人生の楽しさに変わり、信州の寒い冬も、暖かく楽しいものになっていくのかもしれません。

美しく揺れる炎を見ながら暮らす贅沢。
癒しとくつろぎの空間で、心なごむひとときを。

薪のはぜる音を聞き、橙色のやさしい炎の揺らぎを見ているだけで、不思議と体だけでなく気持ちもリラックスしてきます。薪ストーブの炎の周りには自然と家族が集まり、優しく暖かい時間を与えてくれます。他愛のない会話を楽しみながら、自然と心と心が通い合う。まさに、薪コミュニケーションです。夜は明かりを落とし、火を前にして、コーヒー片手に読書にふけるのもいいかもしれません。
薪ストーブオーナーにとっては、「冬」が一番楽しめる季節だと言います。寒さで、体も心も縮こまってしまいがちな冬の暮らしが、薪ストーブひとつで、心躍る楽しい生活になるからなのでしょう。暖をとるだけでない、炎を見ながら暮らせる贅沢がそこにはあります。

安全対策も大切。
断熱二重煙突で、安全で快適な薪ストーブライフ。

薪ストーブの性能を最大限に引出すには、煙突を通って排出される煙の温度(排気温度)を高温に保つことが最も重要です。 排気温度が高温であれば、煙がスムーズに排出されて出力や熱効率が良く、煙突内部にススやタール等が付着しにくいので、メンテナンスも容易です。排気温度を高温に保つのは、断熱性の高い煙突です。断熱性能の良い煙突は、内部では高温を保ち、外部は熱を遮断して安全性を確保しています。煙突に有効で安定したドラフト(通風力)と、危険な煙道火災などの安全対策にも十分な性能が求められます。
安全性はもちろん、機能性・燃焼性の点からも断熱二重煙突なら、安心して使用できます。また、不適切な設置をすると、火災等の危険性もありますから、きちんとした施工をしてくれる業者を選びましょう。安全対策をしっかりした、人にも環境にもやさしい薪ストーブのある気持ちのいい空間でなら、信州の冬を温かく楽しく過ごせそうですね。


有限会社 山三「信州型木造ドミノ住宅」モデルハウス  右:薪ストーブ 左:木質ペレットストーブ


株式会社 ヴァルト モデルハウス T-LOFT Plus(蓄熱式暖炉)&ピーエスHRヒータによるハイブリッドシステム

薪ストーブは、地球にも優しい暖房器具。
購入の際には、お得な木材利用ポイントも付与。

今、二酸化炭素を増やさないクリーンエネルギーとして、バイオマス燃料である木材の利用が見直されています。
樹木から得ることのできる薪を燃やして排出される二酸化炭素(CO2)は、樹木の成長過程で大気から吸収される量とほぼ変りません。樹木が薪とならずに朽ちてしまった場合にも同量のCO2が大気に排出されます。このことをカーボン・ニュートラルといいます。厳密に言えば、薪に加工したり、運搬したりすることが必要なため、ニュートラルにはなりませんが、身近なところから薪を入手すればするだけ、環境負荷を少なくすることができます。ですから、環境負荷をさらに少なくするためにも、森林整備のためにも、地域の間伐材を薪として利用することは非常に意味のあることで、地球温暖化防止や循環型社会の形成に貢献することでもあります。
薪は限り有る化石燃料とは異なり、森林を整備していくことによって、維持・生産し続けていくことのできる資源です。近くの里山から採取した薪を使って暖をとり、料理をする。ストーブの炎を囲み、家族が仲良くコミュニケーションをはかる。そんな、自然と人が寄り添った優しい暮らしを、薪ストーブが可能にしてくれます。

木材利用ポイント

地域材の適切な利用により、森林の適正な整備・保全、農山漁村地域の振興に資することを目的として設けられた「木材利用ポイント」は、対象地域材を活用した木造住宅の新築等、内装・外装の木質化工事、木材製品及び木質ペレットストーブ・薪ストーブの購入の際に付与され、地域の農林水産品等と交換できる事業です。対象期間は、平成25年7月1日から平成26年3月31日までの購入分ですが、この機会に、是非利用してみてはいかがでしょうか。

取材協力/株式会社 ディー エル ディー 有限会社 山三 株式会社 ヴァルト